新システムを構築し介護の事務負担減へ 厚労省

介護の事務負担の重さは、現場の大きな悩みでもあります。
事務負担が軽減されれば、本来行うべきケアの時間により費やすことができます。

介護の事務負担を軽減するために、厚生労働省は 27日に開催した介護保険部会の専門委員会で、 新たなシステムの構築に取りかかることを明らかにしています。

事業所の指定・更新の申請や報酬請求に伴う届け出など の 大多数の手続きをネット上で完結、電子申請のみで済ませられることを目指すということです。
ただ、自治体との調整や技術的な問題などがあり、今後どの程度のものが実現するかは不透明。

介護の現場としては事務負担軽減は大歓迎ですが、実現性については未知数ですし、計画では2022年の稼働を目指すとなっているのでまだ先になります。

現在のような人手不足の状況ですから、できるだけ本来の介護にかかわる時間に人材を有効活用をしたいところです。
自らも創意工夫をして事務負担軽減を成し遂げることが大事で、介新塾としても情報を発信していけたらと思います。

ケアプラン有料化は先送りで調整 政府

ケアプラン有料化が議論されていますが、政府が有料化を先送りする方向で調整していると共同通信が伝えています。


現場関係者からは有料化に対しては、「利用者の意向をより反映するような圧力が強くなり、自立支援につながるサービスの提供が難しくなるかもしれない」などの慎重論が大勢を占めていました。

与党内からも有料化慎重論が相次いだこともあり、今回は先送りになりそうな状況です。

ただ、現在の国の財政状況や給付費の膨張が続く以上、いずれ近い将来はケアプラン有料化に踏み切る可能性が高いでしょう。

ケアプランを有料化は様々な変化が見込まれ、その一つが自らケアプランを作成する人も増えるのではないかとの見方です。
セルフケアプランが増えることによって、自立支援につながる介護サービスよりも、医療系のサービスをより優先されるのではないかとの予測も聞こえています。

ケアプランの有料化については、単に有料になるということだけでなく、我々介護事業者の経営環境を大きく変化させる可能性も考えられるわけです。

介護福祉士資格取得の一元化 経過期間延長を議論

介護福祉士資格取得のルートは、現行はご存知のように「養成校ルート」と「実務経験ルート」があります。
実務経験ルートでは、国家試験に合格した者が介護福祉士資格を取得できますが、養成校ルートの国家試験合格の義務付けは経過措置として先送りされている状況です。

経過措置は5年で、2022年度からは完全に国家試験合格を義務化するようになっています。
ただ、現状多くの介護現場では人材の確保が厳しい状況ですが、養成校ルートで資格取得のハードルが高くなることで、ますます将来介護を担う人材が減っていくことも予想されます。
特に留学生にとっては、国家試験取得の負担は大きく、貴重な人材を失うことにもなりかねません。

11月11日に行われた社会保障審議会・福祉部会 で、現場からは外国人留学生が急増していることもあり、経過措置延長の訴えが相次ぎました。
ただ、会合に出席している有識者からは、人材の資質の一元化などを理由に予定通り実施すべきとの意見が多数を占めているようです。

意見の対立が見られるこの問題について、厚生労働省は12月にも結論を出す見込みです。
どのような結論になろうとも、今後将来にわたる人材確保については、ますます厳しい状況になることも想定しておくべきでしょう。

われわれ介新塾としても、人材不足に対応すため 外国人技能実習制度の活用 や介護職員等特定処遇改善加算の導入などの情報を発信をしていきます。

有料老人ホームやサ高住に対する行政の関与を強化へ 厚労省が検討

住宅型の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の質を担保するため、
厚生労働省は行政の関与を今より強化する方向で、制度の見直しを検討しているとのニュースが流れています。

有料老人ホームやサ高住、行政の関与を強化へ 厚労省 年内に具体策

介護のニュースサイト JOINT


10月28日の社保審・介護保険部会と5日の自民党政調・介護委員会で制度の見直しについて説明をしましたがともに目立った異論は出ていないとのこと。

厚生労働省は、年内に具体策のアウトラインを固め、来年の通常国会に関連法の改正案を提出する見込み。

住宅型有料老人ホーム、サ高住については、届け出や登録の際には都道府県から指導監督等を受けますが、保険者である市町村の関与が必ずしも十分でないことを問題視。

この点、特定施設の指定を受ける介護付きの有料老人ホームですと、介護保険事業計画との関係上、市町村も情報を把握できることとの違いがあります。

厚生労働省としては、このような現状を是正したい考えで、具体策を立案し行政による関与の強化に取り組む意向です。

具体策自体が明らかになっていないので、どのように関与が強化されるかははっきりしませんが、 「介護相談員」の活用を審議会では例示しています。

介護相談員とは、介護サービス施設・事業所に出向いて、利用者の疑問や不満、不安を受け付け、介護サービス提供事業者及び行政との橋渡しをしながら、問題の改善や介護サービスの質の向上につなげる取組みを行う役割を担っています。

事業の実施に相応しい人格と熱意を有し、一定水準以上の研修を修了した者として介護相談員は市町村に登録され、職務を行います。

参考までに介護相談員派遣等事業の概要を紹介しておきます。

出典 厚生労働省保健局

現行では介護相談員の関与は、 住宅型有料老人ホームなどが対象に含まれていないため、今後はその対象に含まれる可能性もありそうです。


行政の関与が強化されるとなると、今後の動向が気になるところですが、また動きがありましたらご案内をしていきます。

介護ベッドの手すりに注意 死亡事故の例も

介護ベッドの手すりは、ベッドからの転落防止や利用者様が立ち上がる際のサポートにもなり、介護の現場でも欠かせないものになっています。

ただ介護の現場の手助けをしてくれ、利用者様の生活を支えているはずの介護ベッドの手すりが思わぬ事故を誘発しているのはご存じでしょうか?

介護ベッドの手すりが原因となる重大事故が継続的に発生していることを、消費者庁が介護現場の関係者に改めて注意を喚起しています。

同じような注意喚起が以前からありましたが、今回 10月29日、新たに死亡事故が報告されたことで、あらためて消費者庁が事故防止の対応を呼びかけています。

なお今回報告された事故によって、 2007年度以降 累計で事故が80件、そのうち44人が亡くなられたという深刻な事態です。

我々事業者もこの状況を重く受け止め、事故防止対策を日頃からとっておくべきでしょう。
参考までに 医療・介護ベッド安全普及協議会 から発行されたチラシを紹介しますので安全対策としてご確認ください。

出典  医療・介護ベッド安全普及協議会

なお、安全確認スケールについては、画像が縮小サイズのため、実際には定規などを活用していただければと思います。