後期高齢者の保険料、高所得層で引き上げへ

75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」をめぐり、厚生労働省が所得の高い人については、年間の保険料の上限を66万円から80万円程度に引き上げる案を示しました。

国の医療費は高齢化を背景に年々増え続けていて、今では年間40兆円を超える状況となっています。現役世代の負担を抑えるため、厚労省は17日に開いた専門部会で、所得が高い75歳以上の高齢者については、保険料を負担する上限を、現在の66万円から80万円程度に引き上げる案を示しました。
対象は加入者の約1%で保険料は年約14万円増える予想です。年間上限額の引き上げに併せ、中間所得層の保険料も増額します。高齢化で医療費が膨張する中、経済力に応じた負担を求める狙いになっています。
増収された分の一部は、来年度から増額される予定の「出産育児一時金」の財源にもあてられる方針だとしています。
厚労省はこうした制度改革の議論を年内にまとめることにしています。

 

現役世代の人口は急激に減少しています。人口動態に応じて調整する仕組みはあるものの、これから個々の負担が一段と重くなっていくのは避けられません。現役世代は賃金も十分に上がっておらず、子育て世帯を中心に生活に余裕のない人が多い。企業や保険者などからも、「負担は既に限界にきている」と警鐘が鳴らされています。

政府が保険料の見直しを検討するのは、生活に余裕のある高齢者に相応の負担をしてもらうことが目的であり、高齢者どうしの再分配機能を強化しつつ、現役世代の負担が重くなり過ぎないようにする狙いがあります。